甦った怪獣・その1

今回は、甦った怪獣・その1

帰ってきた怪獣おもちゃ・その5では
”第二次怪獣ブーム玩具”総括なのに
少しマルサンを過大に扱い過ぎた?!
かなぁ、、、って事で、

第二次怪獣ブームの中で、本筋だと思
う「ブルマァク」という会社の成り立
ちについてフォーカスした当時の玩具
業界誌のリライト投稿です。

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みどりの指定席
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甦った怪獣
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安定商品にとり組むブルマァク
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一時、子供たちの間で爆発的人気のあ
った”怪獣”は、昭和四十三年暮れの
マルサン倒産により、突如として業界
から姿を消していた。

しかしながら再起不能とまでいわれた
”怪獣”を再び甦らせた二人の英雄が
いる。石田光田郎氏と鐏三郎氏である

両氏は四十四年四月四日怪獣の製造元
ブルマァクを発足させた。

ブルは英語で活気を意味するが、両氏
の躍進ぶりは怪獣たちの軌跡の再起の
姿でもある。発売以来、半年間に市場
に流れた怪獣は実に百五十万個という

現在、甦った怪獣はウルトラマン、を
はじめゴジラ、バラゴン、ゴメスなど
二十八種類、また新しくスペースもの
にあわせたイカルス星人、ゴドラ星人
などがある。
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子どもたちの手に怪獣を!
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マルザン倒産のとき、石田、鐏両氏は
「それでもおれたちは玩具業界に一生
を賭けるんだ!」と誓いあったそうで
ある。

だが、再生に至るまでの、両氏の苦闘
は言語に絶するものがあったようだ。
いったい何から、手をつけていいのや
ら、まったくなすすべもなく放心し、
虚脱感にさいなまれたまま空白の日々
は駆け足で過ぎ去っていき苦悩は日々
につのるばかり。さすがに両氏とも、
心底つかれはて、ついに万策尽きた思
いで「君たち!おもちゃの中で何が一
番好き?」と神だのみならぬ子どもだ
のみに聞いてまわったそうである。

「人間追いつめられないとなかなか動
かないものですね。足を棒にして歩き
まわったときのことはいつまでも忘れ
られません」と両氏は感慨深げに話し
てくれた。

姿を消したはずの怪獣が、今も子ども
たちの心の中に脈脈と生き続けている
のを発見したとき、怪獣を世に送り出
すことこそ、われわれの使命だと思い
もう一度子どもたちの手に怪獣を!と
ファイトが湧いてきたそうである。

だが、そこには、数多くの難問が横た
わり、行く手をさえぎっていたのであ
る。その最大の問題は業界の怪獣に対
する根強い不信感である。問屋、メー
カー、小売店、どこにも不信感という
ことばが怪獣についてまわった。

「調査すればするほど、そのことばを
聞いてさすがに自分たちでもとまどい
を感じましたよ」とはいつわらざる気
持ちであったろう。

ただ一人、今もブルマァクの良きアド
バイザーとして、また協力者として惜
しまぬ声援を送っておられるのが中根
商店の中根社長。氏の助言は常に市場
調査に基づく論理的な心の支えを与え
ていた。今も両氏にとって欠かせぬ存
在の人である。それでも、全般的な業
界の不信というものはいかなる方策を
もって打開していけばいいのだろうか

莫大な宣伝費をもって一気に取払うこ
とができれば簡単であろうが、たった
二人で、しかもその肩に痛手も生生し
く、なお再起しようとするものに、そ
のような余裕などあろうはずがない。

”子どもたちにもう一度怪獣を!”

結局、その信念と熱意しか資本に代わ
るものはないのである。付け加えるな
ら、両氏の人間性であろう。マルザン
倒産のとき、最後の最後まで、残って
その整理に奔走した両氏の責任感であ
る。そのことは、業界の良識ある人々
の間でそれなりに評価を受けていたの
ではなかろうか。

中根社長もその点を大いに買っておら
れる。もし、両氏にこの責任感と、人
一倍真面目な、そして熱意がなかった
ら、このような良きアドバイザーも現
れなかっただろう。ともあれ、怪獣へ
の不信感という厚く冷たい氷の壁はそ
んなところから溶け始めていったので
はなかろうか。

そして、子どもたちの間を聞き歩いて
得た怪獣の人気、市場の調査は定石と
いえばそれまでだが、両氏にとっては
いかほどにか心強く思えたことであろ
うか。
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不信感をぬぐい去るために
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だが、それでも茨の道は終わったわけ
ではない。いよいよ計画を実行するに
当たり、メーカーを説得するのにどれ
だけの時間を要したであろう。

メーカーである島田トーイ、京極玩具
で取材してみた。

休みなく動く工場の中で、京極玩具社
長神馬氏は、「やはり不信感はかくし
きれなかったですね。ブルマァクさん
から怪獣の生産について依頼を受けた
とき、一瞬とまどいました。怪獣はま
だまだいけるとは、前から思っていた
んですが、実際生産に入るということ
になると、やはり、当方は当方で再度
調査してみたんです。それでやっと重
い御輿を上げてみると、いやあいまや
工場はフル操業ですから、、、」と語
ってくれた。

島田トーイでも同じような返事が返っ
てきた。ここでも工場はフル操業の様
子、専務さんまで袋詰めにかり出され
てきりきり舞いのようであった。

「うちでも、独自で調査したんです。
ブルマァクさんの、いわれることを受
け入れるまでにはかなりの時間を要し
ました。それから先は石田さん、鐏さ
んを信頼したんですよ。現在の生産量
はものによっては以前の怪獣ブームの
時より上回るものもあるくらいです」
ということであった。とにかく、怪獣
が甦るにはかなり厚い壁があったらし
い。

このような声は、デパート、小売店の
店頭でも聞かれた。ここでは多種多様
な意見があるが、だいたい、二分され
た意見とみることができる。一方は、
「もはや、一度すたれた商品な、、」
という完全なる不信の声であり、他方
は「直接、お客から怪獣の注文を受け
たので探していたらブルマァクから出
たので、、」という賞賛の声である。

しかしながら、当時を、ふり返りなが
ら、石田、鐏の両氏は次のように語っ
ている。

「いい返事を、してくれるところなん
て、ごく限られた少数のところだった
んです。実際、『一つでもいいから置
いてください』といって注文をとるの
に一苦労しました」

ともあれ紅余曲折しながらも、多難の
道を乗り越えて、いよいよ怪獣を発売
したのは四十四年四月二十三日であっ
た。
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アッと驚く軌跡
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いざふたを開けてみると、当初の予想
を一挙に打破って、1ヶ月とたたない
うちに品不足になってしまった。急激
な上昇線をたどる売行きに関係者一同
は二度、三度、びっくり。いまだに、
生産が間に合わないほどの成長率であ
る。

実にブルマァク発足以来、一年を経過
していない現在、ブルマァクの商額は
億近いとも、あるいはそれ以上ともい
われている。

まさに怪獣は甦ったのである。軌跡は
まだある。つい最近、ブルマァクは輸
出関係に強い柴田氏を迎えたが、それ
でも社員は全部でたった三人である。
この二人プラス一人という

”三人商法”

については、後で探ってみるとして、
今後、怪獣はどのような運命をたどる
のであろうか。七○年の怪獣を考えて
みよう。
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怪獣は安定商品になりうるか
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時代の推移は人間を規格の中に閉じこ
めようとしている。きたるべき七○年
代は、いよいよ社会が多様化し、各セ
クト、セクトの規格がわれわれに強要
されるのではないだろうか。そうゆう
中で、逆に規格外へ人間性を求めるむ
きがあっても不思議ではない。怪獣は
遠い昔のへんてこな格好に、原始社会
の強烈な個性を秘めている。口から火
を吹いてみたり、空を飛んでみたり、
おおよそ今の時代に出現すれば人間の
力などとうてい及ばない代物ばかりで
ある。そんなところが、子どもたちに
人気を集めているゆえんではなかろう
か。

子どもたちのみならず、大人の間にも
魅力を感じさせる要素は多分にありそ
である。同時に怪獣は過去への郷愁を
ただよわせながら一方では未来の想像
へとも発展していく。いま流行のスペ
ースものや、宇宙もにあわせたXX星
人、○○星人などがそれで、子どもた
ちをなんの疑いもなく未来へ引っぱっ
ていくのである。それもわれわれの住
む社会とはあまりにもかけ離れたとき
に存在できるのは、怪獣をおいて他に
ないからでかろうか。

時代がますます多面化、多様化の一途
をたどる時、超越した力を有するもの
への憧れは子どもならずとも大人にも
秘んでいると思われる。

この意味でおもちゃとしても、怪獣は
ライフサイクルの長い商品であるとい
うことができる。

むずかしい遊び方を必要としない。精
密なメカニズムを必要としない。した
がって壊れることが少ない。またその
後はいかにも動的で各種の媒体に乗り
うるetc,,,,

安定商品としての要素を数々持ってい
る。ブルマァクでは、以前の苦い経験
から市場調査、時代との調和を充分考
慮しているとのことである。怪獣は七
○年代も足音高く歩んでいくことであ
ろう。
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二人だけの商法
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ブルマァクが発足いらい、たった二人
で半年間に億近いという業績をあげた
ことは各界の注目するところとなって
いる。その原動力は今回の取材に際し
てもお互いに相手を信頼しきっている
様子の石田、鐏両氏に加えて、この度
入社された柴田氏の、実に素晴らしい
チームワークにありと見受けた。しか
しながら、いまだに三人の社員で、チ
ームワークだけでやっていけるものだ
ろうか。

そのへんについても、もう一つ突っこ
んで聞いてみると、石田氏は慎重な口
ぶりで答えてくれた。

「まず第一には、メーカー、問屋、そ
れぞれのサイドに立脚した相互信頼を
前提とする自主独立採算制です。それ
に、実力内での仕事量の決定というこ
とです」

ごく常識的な、、、、とも思われるお
話ではあったが、この極めて当たり前
のことが実はなかなかむずかしいもの
なのである。実績に裏付けされた石田
氏の言葉は聞く者に深い感銘を与えず
にはおかない。

最後に七○年を迎えるにあたり、新年
の抱負を石田氏に伺ってみた。

「なによりもまず、地道に一歩、一歩
着実に進みたいと思っています。一躍
ヒットを狙う、ということはしません
が、われわれはこの仕事を生業と考え
ています。商品にしても、息の長い商
品をつくりたいと思っていますから、
いわゆる安定商品になりゆるものを研
究していくつもりです。同時に時代に
マッチした商品をつくるということも
大切だと思います。ブルマァクから何
も出ない時は”準備中”だと理解してい
ただければ幸いです。いずれにせよ、
まだまだ未熟なわれわれですから各位
のご指導を仰ぎながら前進していきた
い」。

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追記

ここは、ブルマァクとか怪獣とか関係
無い話です、、、

ここ数年、あまり自分自身での、年間
ベストCDとか、ふり返って思い返す
とか、無かったけど、、、

久しぶりに、今年一番(というか、こ
こ2、3年になってしまうかなぁ)一
番聴いていた音楽作品は、、というと
それはもう、TOOLの、Fear 
Inoculum 一択です。

何だか分からないけれど全く飽きない

Ænima
Laterals
10,000 Days

これら作品も、随分聴き込んだけれど

Fear Inoculumのスルメ
感、噛めば噛むほど?!聴けば聴く程
自分自身の脳味噌ジルが、ジゎる、染
みデル感じ、、、、が尋常じゃない!
という事を、何故か今、この区切りで
言いたい。

ここ最近(というか、ここ数ヶ月間)
Fear Inoculum聴きなが
らキーボードに文字カタカタ打ち込む
ゾーンに入ってしまっていた関係で、
ここ数回分の、昭和玩具の研究らしい
投稿ページが完成していきました。